
2025年度課題について
KOSEN Open Innovation -Challenges from Africa 2025-募集要項
主催: 独立行政法人 国際協力機構(JICA) 国立大学法人 長岡技術科学大学
1.2025 年度の課題
KOSEN Open Innovation(高専 OI、KOI)では、日本とアフリカの両国が抱える社会課題の 解決策を募り、書類審査を通過した優秀な提案に対してはプロトタイプ製作を支援する。 2025 年度は以下の 2 つをチャレンジ課題とする 。
●課題1 「カカオの危機を救え」
対象国:ガーナ
ガーナの主要産業であるカカオは現在大きな危機に直面しています。その理由として、気候変動、カカオを枯らす病気の急速な蔓延、運営資金不足による費用や農薬の配布停止、森林破壊によるカカオの寿命縮小、カカオの老木化、カカオ栽培地での違法な金採掘による農地破壊、などの原因による生産量の大幅な減少や、児童労働の問題、国際取引価格と国内買取価格との差異、肥料や土壌改質剤、農薬の高騰による農民の利益減少など様々な要因が挙げられます。
これに対して、カカオ畑内に捨てられているカカオポッドの殻が分解される過程で、メタンや二酸化炭素などの温暖化ガスが発生しています。この未利用のバイオマスを炭化して土壌に散布することで、二酸化炭素を隔離することができます。 そしてその炭をカカオ畑に撒くことで土壌改質剤として活用できるという取り組みを通じ、炭素削減量に応じて取得される炭素クレジットによる利益が農家に還元される CDM(Clean Development Mechanism)という取り組みがなされており、収入の多角化・向上 、環境保護、土壌改質などの複数の課題をまるごと解決することができると期待されています。しかし、この取り組みにおいても、アフリカでは質の良い炭化装置がないという課題が残っています。
本テーマでは、このような背景を踏まえ、高専生による柔軟な発想でカカオの危機を解決するテーマを募集します。
一例として下記のようなテーマが考えられますがこれらに限りません。
・カカオ殻の炭化効率を改善し、燃焼ガスの排出量を削減するアイデア
・児童労働にならない範囲でカカオ農園で働く子どもたちや大人たちの作業負担やケガのリスクを軽減するアイディア
・カカオの収量を増加させるためのアイディア
・カカオの生産適地が金資源地域と重なっており、不適切な採掘方法により生じる水銀などの土壌汚染を克服するためのアイディア
・日系企業などの民間連携を通じた、カカオ農家の生産性向上のためのアイディア
・IT技術を駆使したカカオの安定生産に向けたアイディア
·. 炭化効率を改善し、燃焼ガスの排出量を削減するアイデア
●課題2 「ラストワンマイル問題を解決せよ」
対象国:セネガル
ラストワンマイルとは、「顧客にモノ・サービスが到達する最後の1マイル」のようなことを意味している。例えば、セネガルにおいてはコロナワクチンを接種するために各地域の保健センターまでは冷凍車で搬送するシステムが確立しているが、冷凍車が国内に10数台しかないため、そこから実際に接種する会場までの搬送は保冷ボックスを積んだバイクが行っており、ワクチンの保冷が十分にできない現状がある。また、電化も国の全域までは届いておらず、電気がない診療所が多く存在しており、夜間の緊急手術や出産も安全にできない問題がある。また、そもそもセネガルでは、都心部を除くと町単位までしか住所がないところも多く、郵便物を配送するときに番地などの個別の建物の識別記号が存在しないために効率が非常に悪いなどの問題がある。これらの問題を解決するための取り組みとして、例えば電化の問題に対しては、携帯型で安価な太陽電池パネルと充電器、WIFI、照明器具を一体化したユニットの開発などにより、最低限の電気を電線インフラの届かない地域まで供給する取り組みがなされているが、地方の農民は自給自足による生活を行っており、現金収入がない人も多く、このような地域では、相当に安価なシステムでないと導入が難しいという現状がある。
本テーマでは、このような背景を踏まえ、高専生による柔軟な発想でセネガルにおけるラストワンマイルの課題を解決するテーマを募集します。
一例として下記のようなテーマが考えられますがこれらに限りません。
・電気が届いていない地域を救うアイディア
・住所がない地域に効率的に物流を行うアイディア
・現状で急速充電器が国内にほぼ設置されていないセネガルで環境によいモビリティを普及させるアイディア
・コールドチェーン(クール宅急便のような冷却物流)でワクチン・食品(セネガルの主要産業である水産物等)などを搬送するアイディア
2.実施スケジュール
2月上旬: テーマ募集開始
3月から4月上旬 ガーナおよびセネガルの現地JICA職員または企業人材による現地の事情の説明会(リモート)
4月25日(金)17:00:募集締め切り(提出先: koic.jica@gmail.com)
5月2日(金) 書類選考結果のご返送
この間、プレゼンテーションの修正に対してのご相談を受け付けます。
5月17日(土) 長岡市 (ミライエ長岡)にて対面でプレゼン審査
審査結果は即日会場にて行います。
この間、課題解決に向けたプロトタイプの作成などの準備を実施
8月~2月頃 ガーナ、セネガルにおける現地実証試験の実施
3月末頃 成果報告会
3.参加資格
日本国内の高等専門学校に在籍する学生(国立・公立・私立の別を問わない)
4.チーム構成
(1)チーム人数は 5 名を上限とする。
(2)チームを構成するメンバーは日本国内の高等専門学校に在籍する学生とする。
(3) チームメンバーの中から事務局とのやり取りの窓口となるチーム代表者を1名決定する。
(4)チームにはアドバイザー1 名が必ず帯同する。アドバイザーは当該チームの学生が所属
する教育機関に在籍する教員とし、1人が複数チームのアドバイザーを兼任することはできない。アドバイザー1名はチームメンバー人数に数えない。
(5) 複数の教育機関で混成されたチームは認めない。また、参加者が複数のチームに所属することはできない。
(6) Challenge Day(審査会) までのチームメンバーの追加および変更は 2 名までとし、変更がある場合は 8 月 9 日までに申し出ること。ただし、チーム代表者の変更はいかなる理由があっても認めない。
(7) プロトタイプ改良期間のチーム構成についてはチームメンバーの人数、
アドバイザー人数の上限は設けず、通常のチームメンバー(上限 5 名)に加え、地元 関連企業や大学などからのフィーバック・アドバイスをもとに、より実用段階に近いものを目指すことを奨励する。長岡技術科学大学の学生及び教員がメンターとして 参加予定である。
(8) 別途、参画が見込まれる地域企業を記入すること。(応募の時点で企業からの了解は得 られていなくても構わない。また、審査コメント等に基づき地域企業の変更は柔軟に認める。)
5.第一次審査用提案書類の提出について
提出形式等は、A0サイズ (841mm×1189mm)のポスターに提案内容を記載し、提出する。対象国・応募課題を明記する。
6. 第一次及び第二次審査基準
(1) 各国のニーズを取り入れていること(その国、地域の社会課題の解決、より良い社会づくりの提案、地域の人が求めている内容であること)。
(2) 学術的、経済的、タイミング的に適切な解決方法であること。
(3) 企業(各高専が立地している地域企業との連携が好ましい)と連携した取り組みである
こと。その企業との連携が理にかなっていること。
(4) その取り組みが将来産業として発展する可能性が高く、リーバスイノベーションに貢献 しうること(例、ゴミの回収ロボットを作ったとして、それはアフリカだけでなく、 東南アジアなどでも広く展開できるなど)。
7.参加費用
(1) 参加費用は無料とする。
(2) 第二次審査(プレゼン審査)通過チームのプロトタイプ製作にかかる費用のうち250,000円を上限としKOI運営事務局が負担する。発注方法は、KOI運営事務局に発注し、物納とする。(2025年度の方法について検討中)
(3) 入賞チームのアフリカ渡航はKOI運営事務局が手配・負担する。
(4) 第二次審査(プレゼン審査)通過チームが製作したプロトタイプの輸送費(報告会目的・アフリカでの実証実験目的)はKOI運営事務局が負担する。
8.参加申し込み及び課題提出
(1) 募集期間
2025年2 月10日(月)~2025 年 4月25日(金) 17:00まで
(2) 参加申込方法
以下8.(3)の参加申込書兼誓約書とポスター資料を以下のKOI運営事務局にメールで提出する。
KOI事務局メールアドレス:koic.jica@gmail.com
(3) 参加申込書兼誓約書および記入例ダウンロード
(4) Challenge day参加決定通知
第一次審査(書類審査)通過チームには 指定期日までにChallenge day(審査会)参加決定通知をメールにて連絡する。
9.Challenge Day(プレゼン審査会)について
(1) 日時:2025年5 月17 日(土) 13:00∼15:00
(2) 場所:ミライエ長岡(新潟県長岡市)およびオンライン
(3) 選抜方法:
第一次審査(書類審査)を通過したチームがChallenge Dayでプレゼンを行い、各課題につき優秀な提案をした1チーム(計2チーム)を選抜する。
(4) 発表者
プロトタイプのプレゼンには、アドバイザーを除き少なくとも1 名以上が出席する。
(5) 発表形式
形式: パワーポイント等を用いたプレゼン
プレゼン時間:5 分、質疑:5 分
言語: 英語 (必要に応じて通訳がサポート)
(6) 旅費
審査会の開催される長岡市までの参加教員・学生の旅費については、主催者の長岡技大が支給する。
10.大会運営
(1) 本実施要項に記載されていない行為、事項についてはKOI運営事務局の合議のもと対応する。
(2) 主催者は大会期間中に発生するいかなる損害に対しても責任は負わない。
(3) 本実施要項、会場、運営方法等に関する質問は、以下に問合せのこと。
問合せ先:KOI運営事務局:koic.jica@gmail.com
課題や課題国に関するご質問は4月18日までに上記メールアドレスにお送りください。7月24日をめどに回答させて頂きま
(4) KOI運営事務局
(氏名 所属)
事務局長: 中山 忠親 長岡技術科学大学
実施責任者: 渡利 高大 長岡技術科学大学
委員: 山口 隆司 長岡技術科学大学
委員: 松村 元博 JICAアフリカ部計画・TICAD推進課 課長
アドバイザー: 坂田 道志 有限責任監査法人トーマツ
